世界的なプロボクサーとして活躍する井上尚弥選手の父・井上真吾氏さん。
独学でトレーニング理論を学び、息子を世界王者に育て上げた父の真吾さんの歩みは、多くの人々に感動を与え続けています。
今回はそんな井上真吾さんの詳細な経歴から親子エピソード、そして指導スタイルまで、分かりやすくまとめていきたいと思います。
井上真吾の経歴

井上真吾さんは1971年8月24日、神奈川県座間市で生まれました。
幼少期から青年期にかけて、決して恵まれた環境とは言えない状況の中で成長しています。
小学校2年生の時に両親が離婚し、母親と兄と共に母方の実家で生活することになった真吾さんは、この厳しい環境が息子たちへの教育方針の基本となったと語っています。
中学卒業後はすぐに塗装業の世界に飛び込み、19歳で結婚、20歳で独立を果たすという早熟な人生を歩みました。
【経歴まとめ表】
年代 | 出来事・経歴 |
---|---|
1969年 | 神奈川県座間市に生まれる |
中学・高校時代 | ボクシングを開始、アマチュアとして競技に取り組む |
高校卒業後 | 大学進学後もボクシングを継続、選手としては大きな成果を残せず |
社会人時代 | 地元で就職、家庭を持つ。尚弥・拓真を育てる中でボクシング指導に関わり始める |
2012年 | 井上尚弥のプロデビュー戦でセコンドを務める |
2012年~現在 | 尚弥を中心に長期的な育成を継続。次男・拓真も指導し、兄弟揃って世界王者に育成 |
2018年 | WBA年間最優秀トレーナー賞を受賞 |
現在 | トレーナーとして活動を続ける一方、親子関係では「家では父、ジムではトレーナー」と役割を分け、信頼関係を維持 |
井上真吾の仕事への姿勢「人生負けたくない」

井上真吾さんの人生を語るうえで、欠かせないキーワードがあります。
それは 「人生負けたくない」 という強い意志です。
母子家庭で育った経験から、真吾さんは学歴にこだわらず、自分の力で仕事で成功することこそ大切だと考えていました。
その信念のもと、まず塗装業で手堅く成果を出し、実業家としての基盤を築いていきます。
34歳のときにはアパートやマンションの経営にも挑戦。
そこから複数の事業を手がけるようになり、まさに「中途半端は嫌い」という性格を体現するかのように、どの仕事にも全力で取り組みました。
そして何より印象的なのは、働く姿を息子たちに見せることを大切にしていたことです。
父として、経営者として、全力で取り組む姿勢は、後の尚弥・拓真との親子関係や、彼らの精神面・努力の土台にも大きな影響を与えています。
井上真吾のボクシング経験やトレーナになるきっかけ

井上真吾さんが24歳のとき、中学時代の友人の勧めでボクシングを始めたことが、井上家にとって運命の分岐点となりました。
アマチュア選手として2戦2勝という短い現役生活でしたが、自宅で練習していると小学1年生だった長男の尚弥が「僕にもボクシングを教えて」と興味を示します。
そにとき真吾さんは「一度始めたら簡単にはやめられないぞ」と厳しい言葉を言い渡し、「親と子でなく、男と男の約束だった」と振り返っています。
この小さな始まりが、トレーナーとして後に世界王者(息子)を育てる第一歩となりました。
トレーナーとしての歩みや実績

井上真吾さんのトレーナーとしての道のりは、決して計画的に進むものではなかったようです。
息子の尚弥が示した才能を見抜き、独学で指導技術を磨いていく過程は、まさに父親の愛情と責任感の結晶と言えるでしょう。
39歳の時に秦野市でアマチュアジムを設立し、尚弥のプロ転向に合わせて大橋ボクシングジムのトレーナーに就任するまでの道のりには、多くの葛藤と決断があったようです。
プロの世界への不安を抱えながらも、息子の「これまで一緒にやってきたんだから、お父さんじゃなきゃダメだろ」という言葉に後押しされ、トレーナーとして専門的な道を歩み始めました。
【トレーナーとしての実績まとめ表】
年代 | 実績・出来事 |
---|---|
2000年代前半 | 長男・尚弥の指導を本格的に開始。自宅やジムで基礎トレーニングを徹底 |
2012年 | 尚弥のプロデビュー戦でセコンドを務める |
2012年~2014年 | 尚弥をプロ6戦目で世界王者に導く(WBCライトフライ級王座獲得) |
2018年 | WBA年間最優秀トレーナー賞を受賞 |
2010年代後半~2020年代 | 次男・拓真も指導し、WBC世界バンタム級暫定王者に育成 |
2020年代 | 尚弥・拓真兄弟揃って世界王者となり、井上家の「世界王者兄弟育成」の実績を確立 |
現在 | 世界的トレーナーとして活動を継続しつつ、親子関係を大切にした指導を継承中 |
独自の指導スタイル|WOWOW放送の世界戦からヒントを得る!

プロのトレーナーとしての正式な教育を受けていない真吾さんの指導法は、独自の研究と実践に基づいているものでした。
WOWOWで放送される世界戦を徹底的に研究し、「ヒントになるような闘い方を見つけるとまず自分で試し、いいと思った技は尚弥に伝授」するという手法を確立しました。
この独学のアプローチにより、真吾さんが積み上げた技術は約300にも及び、既存のボクシング理論にとらわれない柔軟な発想を生み出しています。
「打たせずに打つボクシング」という根本理念のもと、攻防一体のスタイルを確立し、中学生の頃には既に尚弥(息子)の戦闘スタイルの原型が完成していました。
「ハートのラブ」の指導哲学|「ボクシング愛」や「誠実さ」を重視!

真吾さんの指導の核となるのが「ハートのラブ」という考え方です。
「ボクシングのトレーニングに竹刀はいりません。顔はよく強面と言われますが、『ハートのラブ』で二人を育ててきたのです」と語る通り、厳しさの中に愛情を込めた指導を貫いてきました。
「絶対に手を上げない」という信念のもと、精神論ではなく論理的なトレーニングを重視し、エディ・タウンゼント氏の指導理念を参考にしながら独自の指導方法を確立。
この指導哲学は、単なる技術の伝授を超えた人間教育の実践として、多くの指導者の参考となっています。
トレーナとしての実績|WBA年間最優秀トレーナー賞を受賞
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井上真吾さんの指導者としての実績は数多くあるようです。
2014年の「エディ・タウンゼント賞受賞」を皮切りに、2018年には「リングマガジン年間最優秀トレーナー賞」を受賞。
2023年にはWBC年間最優秀トレーナー賞「トレーナー・オブ・ザ・イヤー」を受賞しました。
2024年にはWBA年間最優秀トレーナー賞も受賞し、息子の尚弥と拓真の兄弟同時世界王者という偉業を達成したトレーナーとして世界的に認められています。
独学で始めた指導が世界最高水準に達したことがうかがえます。
トレーナーとして|SNSの声(まとめ)
井上真吾トレーナー
— BIG EVENTER (@joiningbigevent) May 22, 2025
「打ち終わりを狙ってくる場合、普通はこっちも手を出さずカウンターを狙う作戦になる。でも尚弥は相手が来なければどんどん行くタイプ」
「そこを狙われるなら、行き過ぎず、中間距離で時折カウンターを取る等、色々考えないといけない」
既にここまで考えてるなら大丈夫やな!
アマプラのボクシングナビの井上尚弥選手の父親兼コーチの井上真吾さんがゲストの回、非常に面白かった。ご自身が何事も中途半端だったから息子にはそうはなって欲しくないと真剣にボクシングに向き合わせたから基本に徹底的に忠実なスタイルになった。あと、お互い意見をぶつけ合うらしい。
— おいも (@moiimo) June 2, 2025
井上真吾トレーナーはよう分かっとる。井上拓真は後半、ワンパターンになりがちなところが欠点ではある
— yayaharu (@yayaharu) May 6, 2024
井上真吾さんへのSNSでの反響を見ていると、その多くがトレーナーとしての存在に大きな期待を寄せています。
特に、華やかな戦術に頼らず、基本やボクシング愛を徹底する指導スタイルに共感する人が多いようですね。
シンプルでありながらも選手の強さを最大限に引き出すこの姿勢は、ボクシングの本質を押さえているからこそ高く評価されているのでしょう。
井上真吾の親子エピソードやインタビューまとめ

井上家の親子関係は、血のつながり以上に深い信頼で結ばれています。
父・真吾さんと息子たちは「家では父親、ジムではトレーナー」という明確な線引きがあり、その中でお互いに信頼を築いてきました。
こうした関係性はプロボクシング界でも珍しく、多くの人から注目されています。
親子でありながらも成長し合う姿は、これまでの父と子の関係を超えた新しい家族像を示しているともいえるでしょう。
パートナーシップの築き|対等な親子関係

井上親子の関係で最も特徴的なのは、父親と息子という上下関係を超えた対等なパートナーシップにあります。
息子の尚弥は「僕のボクシングはお父さんの理論が7割、僕の感覚が3割で成り立っている」と公言しており、この数字は技術的な依存度を具体的に表しているようです。
父の真吾さんも「子供の頃から一緒に積み上げてきたものだし、ステップの踏み方、あるいはフックの角度一つとっても、すべて語り合いながら作ってきました」と語っています。
まさに一心同体の関係が築かれており、リングの上でも二人の意思に違いはないという理想的な状態が実現されていますね!
率直なコミュニケーションが成長の源に!

今では、息子から父親への指導も日常的に行われるようになっていると言います。
父の真吾さんは「LINEで『お父さん今のはもう少し優しい言葉で言ってあげて』とか言われることもあるのだとか。
そう言われると「”そうだよな”ってなるんですよね」と述べています。
この相互批判・相互成長の関係について、「それはお互い様なんです。うちらはこれが自然ですから。結局正しいか正しくないかなんですよ」と説明しています。
家族内での率直なコミュニケーションが、成長の源泉となっているようですね!
トレーナーとしての見方|「天才ではない」という一貫した信念
多くの人が薄子の尚弥を「天才」と称賛する中で、父の真吾さんは一貫して「天才ではない」と主張し続けています。
「試合だけしか見ていない人は『天才だ』とか言いますけど、そんなことないんですよ。それが一番わかっているのは自分しかいないんです」と語っています。
「悪いところもまだまだいっぱいありますし、それを言えるのってやっぱり親父である自分しかいなくて」という言葉からは、息子の成長を支え続ける父親としての責任感が伝わってきます。
この姿勢は、息子を過度に持ち上げることなく、常に成長の余地があることを認識させる効果的な教育方法となっていいるのかもしれませんね!
家族の結束エピソード

井上家の成功は、家族全員の支えがあってこそ実現されています。
妻の美穂は練習に付き添ってスパーリングを動画撮影するなど、一家の挑戦を物心両面でサポートしてきました。
長女の晴香さんも家族の挑戦を支える重要な役割を果たしており、父の真吾さんは「ボクシングに専念できる環境を作ってくれた妻・美穂や長女・晴香のおかげです」と感謝の気持ちを表しています。
次男の拓真さんについても、兄と同様の「打たせずに打つボクシング」の理念で指導を行い、世界王者にまで育て上げています。
家族全体でボクシング愛や人としての誠実さ、つまり「ハートのラブ」が満ちていますね!
井上真吾のプロフィール

【基本プロフィール】
氏名:井上 真吾(いのうえ しんご)
生年月日:1971年8月24日(54歳)
出身地:神奈川県座間市
職業:実業家、プロボクシングトレーナー、元アマチュアボクシング選手
所属・役職
- 大橋ボクシングジム トレーナー
- ホリプロ(タレント事務所)所属
- 有限会社明成塗装 代表取締役
- 株式会社井上プロモーション 代表取締役
- 株式会社エスタス・I 起業
家族構成
- 妻: 美穂
- 長男: 井上尚弥(プロボクサー・世界4階級制覇王者)
- 次男: 井上拓真(プロボクサー・世界王者)
- 長女: 晴香
- 甥: 井上浩樹
主な受賞歴
- 2014年: エディ・タウンゼント賞受賞
- 2018年: リングマガジン年間最優秀トレーナー賞受賞
- 2019年: WBC年間最優秀トレーナー賞ノミネート
- 2023年: WBC年間最優秀トレーナー賞「トレーナー・オブ・ザ・イヤー」受賞
- 2024年: WBA年間最優秀トレーナー賞受賞
アマチュアボクシング戦績
- 2戦2勝(24歳時に競技開始、多忙のため短期間で引退)
まとめ
井上真吾氏は、厳しい生い立ちを経験しながらも「人生負けたくない」という強い意志で実業家として成功を収めています。
同時に息子たちを世界王者に育て上げた稀有なトレーナーです。
「ハートのラブ」による愛情深い指導と独学で習得した技術理論、そして家族との深い絆が井上兄弟の成功の礎となっています。
彼の指導哲学は単なるボクシング技術の伝授にとどまらず、人生に対する姿勢や家族の絆の大切さを伝え、多くの人々に感動を与え続けています。
今後も偉大なトレーナとして、息子たちの更なる高みへの挑戦を支え続けることでしょう。