プロボクシング界の絶対的存在として君臨する井上尚弥選手。
その圧倒的な強さを陰で支えているのが管理栄養士の村野あずさ氏。
2014年から井上尚弥選手の栄養サポートを担当し、彼の進化と成功に欠かせない存在となっています。
今回は、井上尚弥選手を支える栄養士・村野あずさ氏による栄養サポートの実態に焦点をあて、井上選手の強さや食事管理の秘密についてまとめていきたいと思います。
井上尚弥を支える栄養士・村野あずさはどんな人?経歴は?

管理栄養士・村野あずさの経歴|アスリートから栄養のプロフェッショナルへ!

村野あずささんは株式会社明治の管理栄養士として活動する栄養のプロフェッショナルです。
彼女自身も元アスリートという経歴を持ち、陸上の中・長距離選手として全日本大学女子駅伝で優勝するなど、輝かしい競技実績を残しています。
現役時代は実業団の横浜銀行に所属し、選手として活躍していましたが、引退後の2002年に明治製菓(現・株式会社明治)に入社し、2004年に管理栄養士の資格を取得しました。
彼女自身も競技を経験しているからこそ、アスリートの気持ちや身体的な負担を深く理解できる専門家として、多くのトップアスリートから信頼を得ています。
現在は著書「『走る』ための食べ方」(実務教育出版)も出版し、スポーツ栄養の専門知識を一般にも広く普及させる活動も行っています。
【経歴まとめ表】
年/時期 | 経歴・活動内容 |
---|---|
学生時代 | 管理栄養士資格を取得 |
入社後 | 明治(株式会社 明治)に入社し、スポーツ栄養部門で活動開始 |
初期活動 | プロ野球・サッカー・ラグビー・陸上など、幅広い競技のトップアスリートを対象に栄養指導を行う |
2010年代 | 北京冬季五輪 金メダリスト・高木美帆選手の食事サポートを担当 |
2014年〜 | 井上尚弥選手の専属栄養士として、減量期の食事管理、リカバリー食、日常の栄養プランニングを監修 |
現在 | 明治のスポーツ栄養チームで、プロ・アマ問わず多くのアスリートを対象に講演やセミナー活動も実施 |
栄養士としての実績|多くのトップアスリートを支えている

村野さんの経歴で特に注目すべきは、陸上競技をはじめ、プロ野球、サッカー、ラグビー、ボクシング、トライアスロン、ビーチバレーなど、多岐にわたる競技のトップアスリートの栄養サポートを担当していることです。
2017年秋からはラグビー日本代表の栄養サポートを開始し、2019年のラグビーW杯では日本代表に帯同してチーム全体の栄養指導を担当しました。
個人のアスリートだけでなく、チーム全体の栄養管理という幅広い専門性を身につけています。
現在担当している主要なアスリートには、プロボクシング3階級制覇の井上尚弥のほか、北京冬季五輪スピードスケート女子の金メダリスト高木美帆、ラグビー日本代表の松島幸太朗、姫野和樹などがいます。
各競技の特性に応じた個別の栄養プログラムを提供しているようです。
【実績まとめ表】
分野 | 主な実績・サポート内容 |
---|---|
プロボクシング | 井上尚弥選手の専属栄養士として、試合期の減量・試合直前のコンディショニング・回復期の栄養管理を担当 |
スピードスケート | 北京冬季五輪 金メダリスト・高木美帆選手の栄養サポートを実施 |
プロ野球 | NPB選手のシーズン中の食事管理やオフ期の体づくりをサポート |
サッカー | Jリーグ選手の栄養指導・リカバリー食の提案 |
ラグビー | 国内トップリーグ選手の試合期・強化期の栄養戦略を担当 |
陸上競技 | 長距離走や短距離選手に対し、パフォーマンス維持と疲労回復を目的とした栄養プランを作成 |
講演・教育 | 管理栄養士として、大学・スポーツ団体・企業向けに栄養セミナーや講演を多数実施 |
メディア活動 | 栄養に関する取材記事・雑誌・TVなどで専門的解説を担当 |
井上尚弥の担当として|長期サポートの開始

村野さんと井上尚弥との出会いは、井上がライトフライ級で世界王座を獲得した直後の2014年7月にさかのぼります。
サポート開始から現在まで8年以上にわたる長期的な関係を築いており、井上の競技人生の中で最も重要な成長期を支えてきました。
初期の井上は、20代前半の多くの若い選手と同様に、朝食をとるのが苦手だったり、好きなものを食べたい時に食べるといった食生活で、食事や栄養に対する意識がそれほど高くなかったようです。
しかし、現在では「ミネラルウォーター1つの質にも意識が向く」ほどのこだわりを持つまでに進化を遂げています。
この変化は村野さんが丁寧にサポートしてきた結果と言えるでしょう。
井上尚弥の栄養サポートの実態
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科学的アプローチを採用|量は落とすが質は落とさない
井上選手の減量は最大で約10キロを1カ月かけて落とし、年に2~3回のペースで試合を行います。
相当なハードスケジュールですよね。
村野さんはこのプロセスを「量は落とすが質は落とさない」という哲学で支えており、単純な食事制限ではなく科学的なアプローチを採用しています。
減量中は直前まで練習中の水分補給を徹底し、体内の水分を保つことでパフォーマンスを落とさないことを意識しています。
具体的には、夕食にビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれたオートミールにプロテインと低脂肪牛乳、フルーツを加えて食べるなど、自分に合った減量食を研究しているのだそう。
驚異的なリカバリー能力|管理栄養士や家族からのサポートも
井上選手の真価は計量後のリカバリー能力にあり、この部分で村野さんの専門性が特に発揮されます。
バンタム級規定の53.5kgでパスすると、その直後から経口補水液、糖質ジェルを補給し、水分とエネルギーの回復に努めます。
その後、炭水化物中心のメニューを時間をかけて順番に摂取し、雑炊やお餅入りのうどん、父・真吾さん特製の参鶏湯(サムゲタン)、ご飯と焼き肉でパワーアップを図るそうです。
このプロセスを通じて、1日で53.5kgから約59kgまで体重を戻して試合に挑むという驚異的な回復力を実現しています。
栄養改善とフィードバック|栄養カウンセリングを実施!
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管理栄養士の村野さんは井上選手の1試合が終わるごとに、試合当日のコンディション、パフォーマンスがどうだったかを分析しています。
少しでも気になった部分や課題が見つかると、それに対して栄養面からも相談を受け、少しずつ改善を繰り返しているるようです。
特に米国でのステーキ中心の食事が体に合わず、コンディションが思うように作れなかった試合があった際は、帰国後すぐに連絡を取るようにしているそうですね。
その連絡を受け、次の試合はリカバリーの食事を変えて、良いコンディションに持っていくのだそう。
そういった具体的な改善例もあるようです。
また、管理栄養士の村野さんから栄養についてカウンセリングを受けることも定期的にあるようですね。
こういった継続的なPDCAサイクルが、井上選手の長期的な成功を支える重要な要素となっています。
井上尚弥の食事管理の秘密
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「質を落とさない減量」の哲学
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井上選手の食事管理は、「質を落とさない減量」という哲学のもと、科学的かつ実践的なアプローチで行われています。
現在の減量は短期間で7~8キロを落とす必要があり、これを1カ月程度かけて計画的に実行します。
減量中でも極限まで練習で追い込むことができる背景には、このような科学的な栄養管理が影響しています。
最後の1週間は精神的にもキツいものの、極端な絶食絶飲や何日間もサウナで発汗・脱水のような方法は取らないようです。
2日前までは栄養を摂りながら減量を行うことで、パフォーマンスの維持と体調管理を両立させています。
「栄養フルコース型」の日常食

普段の食事では、牛乳やバナナ、オートミールにプロテインを加えることで、減量時不足しがちなタンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養強化に努めています。
日常的に実践している「栄養フルコース型」の食事では、
①主食(炭水化物)
②おかず(たんぱく質、ミネラル、脂質)
③野菜(ビタミン、ミネラル)
④果物(ビタミン、炭水化物)
⑤乳製品(ミネラル、たんぱく質、脂質)
を一度の食事ですべて揃えることを基本としています。
練習中や練習後は、糖質入りジェルやプロテインを活用し、効率的な栄養摂取を心がけています。

食事管理や栄養サポート(幼少期から)|家族と管理栄養士による融合した栄養指導!
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井上選手の食事管理の基盤には、幼少期からの健康的な家庭の食習慣があります。
母・美穂さんが作る出汁を基調としたひじきやカボチャの煮物、きんぴらごぼう、もずく酢など、日頃から減量にも適した和食中心の食生活が自然に実現できていました。
村野さんは2014年のサポート開始時に井上家の食事を見て、「食事であれを変えて、これを変えてと一から見直す必要がまったくなかった」と驚いたそうです。
切り干し大根やゴボウの煮物など、いわゆる「昔ながらの食事」は、蒸す、ゆでる、煮るなど油を使わない調理法が多いために減量には最適なようです。
この幼少期からの健康的な食習慣が現在の井上の「食べる力」と「胃腸の強さ」という大きな武器を育んできたのです。
ちなみに、父・真吾さんの栄養サポートとして、特製の参鶏湯(サムゲタン)も積極的に取り入れているようです。
ファンの間では「勝負飯」として有名なのだとか!
(参考レシピ)
父・真吾さん特製の「参鶏湯(サムゲタン)」を再現している動画がこちら⬇︎
井上選手の食事管理は、家庭で培った食習慣と、プロ(管理栄養士)の栄養指導が融合していると言えるでしょう。
食事管理が単なる減量ではなく、強さを支える戦略ともなっているようですね。
食事管理や栄養サポートに対するSNSの反応
井上尚弥すごいよなぁ
— ♂カラミの🌶ゆう (@LUEOfgqEGuMUipA) December 15, 2024
ワイだったらあと1ヶ月も食事制限しないといけんのかい、グッドマンちね❗️って言いたくなるわ
井上尚弥の身体はエゲツないな。
— そよ風 (@6dl1Yx7b72RRxD7) August 21, 2024
そこからまだ落とすという。
栄養士さんとか健康管理している人の話も聞きたいな。
どこまで身体のことを調べるのか知りたい。
血液検査してリスクを見つけ出したりしてるのかとか。
井上尚弥クラスで、どれだけのスタッフが支えているのかも知りたい。
井上尚弥に着く栄養士ってどんだけすごい人やねん。。。
— ひろむ (@alba_dr_miya) December 13, 2022
井上尚弥選手の食事管理に関するSNSの反響を見ると、「厳しい食事制限の中でも栄養をきちんと摂取していること」や「栄養士の高度なサポート」に強く感心していることが伝わります。
また、その成果としての圧倒的な身体づくりに驚きの声が多く、実際に「栄養士の話をもっと聞いてみたい」という関心が高まっている点も印象的ですね!
栄養士・村野あずさのプロフィール

【基本プロフィール】
氏名:村野 あずさ(むらの・あずさ)
所属:株式会社明治 管理栄養士
資格:管理栄養士(2004年取得)
著書:「『走る』ための食べ方」(実務教育出版)
活動:スポーツ栄養の専門知識普及活動
競技歴・学歴
- 陸上競技(中・長距離)の元選手
- 全日本大学女子駅伝で優勝経験あり
- 実業団・横浜銀行に所属して現役時代を過ごす
職歴・キャリア
- 2002年:明治製菓(現・株式会社明治)入社
- 2004年:管理栄養士資格取得
- 2017年秋:ラグビー日本代表の栄養サポート開始
- 2019年:ラグビーW杯で日本代表に帯同
主な担当アスリート
- 井上尚弥(プロボクシング・3階級制覇)
- 高木美帆(スピードスケート・五輪金メダリスト)
- 松島幸太朗(ラグビー日本代表)
- 姫野和樹(ラグビー日本代表)
- その他、陸上競技、プロ野球、サッカー、トライアスロン、ビーチバレーなど多競技のトップアスリート
専門性・特徴
- 元アスリート経験を活かしたアスリート目線での栄養指導
- 個人からチーム全体まで対応可能な幅広い専門性
- 各競技の特性に応じた個別栄養プログラムの提供
- 長期的な関係構築によるきめ細やかなサポート
まとめ
井上尚弥選手の圧倒的な強さの裏には、村野あずさ氏との8年以上にわたる綿密な栄養サポートがあります。
元アスリートでもある村野さんの専門知識と、井上選手自身の高い向上心が融合することで、単なる減量管理を超えた戦略的な栄養プログラムが確立されています。
幼少期からの健康的な食習慣を土台に、科学的なアプローチによる「質を落とさない減量」と「驚異的なリカバリー能力」を実現し、継続的な成功を支える重要な要素となっています。
井上尚弥選手が「怪物」と呼ばれる強さは、リング上の才能だけでなく、日々の地道な栄養管理の積み重ねによって支えられていることでしょう。
